相続税申告に関するご相談を受ける際、相続した土地や相続予定の土地をどうするかについて悩まれている方がよく見受けられます。相続する土地の所在地が相続人の現在の生活拠点から離れており、利用予定がなく、利用しない場合でもその土地の管理が大変なため、土地を手放すことも含めて悩まれていたりします。
このような状況に対応する政策として、令和5年4月から「相続土地国庫帰属制度」が開始しております。国による審査・承認の後、一定金額の管理料相当の負担金を支払うことで、土地を国庫に帰属させることができる制度です。
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00454.html
当制度について、直近の利用状況(令和6年8月31日現在)が公表されています。これまでに2,588件の申請があり、782件の帰属が決定しています。田・畑及び宅地の申請については申請の概ね3割程度が国庫への帰属となるようですが、山林については申請に対して1割を下回る水準での帰属という結果となっており、山林を国庫へ帰属させるのは相対的に難しいように見受けられます。
地目内訳 | 申請件数 Ⓐ | 帰属件数 Ⓑ | 割合 Ⓑ÷Ⓐ |
田・畑 | 967件 | 312件 | 32.26% |
宅地 | 924件 | 254件 | 27.48% |
山林 | 413件 | 27件 | 6.53% |
その他 | 284件 | 189件 | 66.54% |
なお、上記とは異なる税務上の特例として、相続または遺贈により取得した土地・建物等を、一定期間内に譲渡した場合に、相続税額のうち一定金額を譲渡する土地・建物等の取得費に加算することができる特例もあります。相続した土地を譲渡する場合には適用の可否を検討してみることをお勧めします。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3267.htm